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富士山冒険学校~前編~

コロナ禍で止まってしまった長期の子どもキャンプ。

今年、ようやく復活しました。

参加条件は、ホールアースのキャンプに参加したことのある小学4年生~高校3年生の子どもたち。7泊8日の行程では、天候によってプログラム内容が左右されたり、時に臨機応変な行動が必要とされたり、仲間と共に協力したりする場面も多く発生するため、仮に初めての参加でホールアースのフィールドや雰囲気が合わないとなると、期間中つらくなってしまう可能性があるからです。



さて、そんな条件の中、集まってくれた11人の子どもたち。数年ぶりに参加してくれた子もいました。マイクロバスがホールアースに到着し、降りてくる子供たちはなんだかおとなしい様子。後から聞くと、どうやら期待や不安が入り混じった心境だったようです。でも、その不安もすぐに吹き飛んでしまいます。その日の夜には、和気あいあいと、自由時間に何をするかの作戦会議をするのでした。


これから、前中後編と3部に分けて期間中の様子をお伝えします。



昼食を食べ自己紹介が終わると、まずはキャンプの基本、火起こし教室から。スタッフのレクチャーのあと、同じテントに眠るメンバー同士でグループを作り、自分たちで実践します。薪を選ぶところから、自分たちで。どんな薪を選ぶかで、上手く火を起こせるかが変わってきます。乾いたもの、節が少ないもの、触って、吟味していきます。薪を細くするのは少し力が必要なため、2人で協力します。どの細さの薪をどんなタイミングでどんな風に置けば火は大きくなるのか?色々試しながらやっていきました。一緒に作業をしているうちに自然とコミュニケーションが生まれ、相手のこともわかっていきます。









火が起こせたら、今度は飯盒炊さん!飯盒の使い方を教わり、起こした火の上に飯盒が来るように上手くセットします。炊飯器と違って、炊けてもわかりやすい合図はありません。飯盒から伝わる振動にも注視しながら様子を見ていきます。どの班も、上手く炊けました!






夜ごはんは、自分たちで炊いたご飯と、鶏肉と夏野菜のホイル焼き。おなか一杯になったら、1週間で何をするか、作戦会議です!




まずは、スタッフから、期間中にできることの項目を伝えられます。「川遊び」「沢登り」「スイカ割り」「お祭り」etc…どれもしたいけど、全部は難しい!皆の意見を出し合い、考えていきます。「富士登山の前はあんまり疲れない方がいいんじゃない?」「後半天気が悪くなるなら、天気がいい時にできることは先にした方がよさそう」発言できていない人がいたら、その子の意見も聞きつつ、皆の合意をとっていきます。結果、納得のいく計画を立てられたようです。






さて、2日目は、ご飯を食べて動物のお世話をした後、サトのロング散歩からスタートです!施設内を中心に、いつもは行かないコースを歩きました。サトも暑いせいか、川に足をつけて気持ちよさそう。





午後は浅間大社へ!全国に1300社ある浅間神社の総本山です。鳥居から先は、神様のエリア。そして、その神様というのは「コノハナサクヤヒメ」といって、女性の神様です。大昔に噴火をしていた富士山を鎮めるために祈りを捧げたり、また、富士登山の前に「登れますように」と登頂祈願をしたりするための重要な場所です。しっかりとお祈りしたあと、近くの湧き水スポットにも立ち寄りました。富士山の地下から湧き出る水は、禊としても使われていました。全身に浴びることはできませんが、皆で触れてみました。夏でも水温は13度程度ととても冷たく、一瞬夏の暑さが和らぎました。





夕方は、いよいよ富士登山の準備!富士山に登るということはどういうことなのか?どんなルートを歩くのか?どういうことに気をつけたらいいのか?色々レクチャーがあったあとに、持って行くものや装備の確認です。この後、富士山頂のポストに投函するためのはがきを書くのですが、実は大雨に見舞われて、てんやわんや。屋根下にいたので無事でしたが、なんだか自然からの洗礼を受けた気分…長期のキャンプはこういうこともあり得ます。でも、皆文句を言わずに動いてくれました。明日は早起きのため、早めに就寝。朝すぐに活動開始できるように、テントではなく、駐車場に近い山小屋風の建物で眠りました。



朝も、皆ちゃんと起きることができ、時間通りに出発することができました。まだ、暗い中での出発です。バスで富士山の5合目に着く頃には、空も明るくなってきて、山頂もばっちり見えました。昨日の雨が嘘のような最高のコンディション。5合目はダウンが欲しくなるくらいの寒さ!夏でも山の朝は寒いですね。バスの中で朝ごはんを食べ、準備運動をして高度順応。富士登山のパートは、ホールアースの富士登山のスペシャリスト、夫津木(通称ガッツ)が合流して、皆で気持ちを合わせていよいよスタート!






標高が高い場所での登山は、なにより呼吸が大事。エネルギーをたくさん使うと酸素も消費されやすいので、小さい歩幅で歩くことも大事です。足元は溶岩だらけ。慣れない道ですが、スタッフの通る歩きやすいルートを皆でなぞって進んでいきます。歩いていると暑くなるので、服を脱いで体温調節をするのも重要です。さて、ちょっとひと休み…と後ろを振り返ると絶景が広がっていました。連なる山々と雲海。皆、雲の上を歩いています。山小屋についたら長めの休憩、山小屋間では短めの休憩を何回かとりながら進んでいきます。「呼吸は大事だよ」と言っても、一生懸命に歩いていると、ふと忘れてしまうもの。普段は呼吸を意識してすることもないので仕方がありません。平地では感じにくいですが、呼吸の大事さがわかります。皆で声をかけあいながら、励ましあいながら、少しずつ登っていきます。変化の少ないルートでは、モチベーションを保つことも重要。次の山小屋の焼き印を楽しみにしたり、行動食のおやつを楽しみにしたり、いろんな色の溶岩に感動したり、広がる絶景に感動したり…何より、一人じゃない、皆がいるから頑張れるというのが一番大きいですね。




山頂まで登れるということも、大切ですが、何より大切なのは「自分は頑張った!」と思えること。残念ながら、途中高山病になってしまった子もいたので、全員で登頂することはできませんでしたが、途中までだった子も、自分の限界まで本当によく頑張りました。本当に無理そうならスタッフも止めますが、本人ができるだけ納得できるよう、その子が進みたいところまでサポート。途中までだったとしても、全員自分のことをほめてほしいと思います。



そして、やっとの思いで山頂に到着!もちろん疲れもありますが、山頂まで行けたという達成感は何ものにも代えがたく、みんなすっきりとした表情。火口もばっちり見えました。「やっほー!と言ってみる?」とガッツの提案で皆で叫んでみると、これ以上ないきれいな「やっほー!」が返ってきて、大成功!他にも、山頂の神社でお参りして、金剛杖に印を押してもらったり、ポストに手紙を入れたり、寝っ転がってみたり、思い思いの時間を過ごしました。登る時間に比べると、山頂での滞在時間はわずか…でも、下山の時間も考えないといけません。体、特に足が疲労しているため、下山は注意です。滑りにくい場所を選びながら、慎重に降りていきます。行きは「登りたい!」というモチベーションがあったので、精神的にハリもありますが、下山はなかなかそうもいきません。長い道のりを、怪我せず、最後まで自分の足で歩けた子どもたちは、本当に素晴らしいと思います。













5合目に戻ってきて、途中でスタッフと引き返した子たちとも合流。帰りのバスの中、きっと子どもたちはそれぞれに、色んな想いや風景がよみがえっていたことでしょう。とても大変だったかと思いますが、富士山という山が、一人一人にとって今までより近い存在になったのではないでしょうか。


さて、前編はここで終わりです。次回の中編は、初めての沢登りや滝巡り、洞窟探険です!



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